|

|
|
|
プロフィール:永江朗(ながえ・あきら) 1958年5月9日、北海道旭川市生まれ。 洋書輸入販売会社に勤務したのち、フリーランスのライター兼編集者に。1993年よりライターに専念。現在、「週刊朝日」「エコノミスト」「ダ・ヴィンチ」「朝日新聞」をはじめ、数多くのメディアで連載中。 主な著書に、『菊地君の本屋』(アルメディア)、『不良のための読書術』『アダルト系』(以上、ちくま文庫)、『インタビュー術!』(講談社現代新書)、『〈不良〉のための文章術』(NHKブックス)、『メディア異人列伝』(晶文社)、『話を聞く技術』(新潮社)など多数。近著は『本の現場』(ポット出版) 現在、早稲田大学文学学術院教授。同大文化構想学部にて出版文化概論講義を担当。 |

|
|
|
|
|
プロフィール:永江朗(ながえ・あきら) 1958年5月9日、北海道旭川市生まれ。 洋書輸入販売会社に勤務したのち、フリーランスのライター兼編集者に。1993年よりライターに専念。現在、「週刊朝日」「エコノミスト」「ダ・ヴィンチ」「朝日新聞」をはじめ、数多くのメディアで連載中。 主な著書に、『菊地君の本屋』(アルメディア)、『不良のための読書術』『アダルト系』(以上、ちくま文庫)、『インタビュー術!』(講談社現代新書)、『〈不良〉のための文章術』(NHKブックス)、『メディア異人列伝』(晶文社)、『話を聞く技術』(新潮社)など多数。近著は『本の現場』(ポット出版) 現在、早稲田大学文学学術院教授。同大文化構想学部にて出版文化概論講義を担当。 |
連載目次へ
|
|
| コラム 2009/09/02 |
第31回 読書世論調査データで検証する「読書離れ」のウソ(3) 読書格差社会の到来? |
|

読書世論調査や学校読書調査結果から、昨今の読書離れの言説とは裏腹に、本を読む若者が増えて読書人口が年々増えていることが明らかになりました。
ただし、誰もが本を読んでいるかというとそんなことはありません。 読者の二分化、あるいは二極化が起きているのです。 まずは読書と年齢など他の指標との相関関係をみていきましょう。
◎読書と年齢との相関関係('08年読書世論調査)
10代後半、87%☆(最高率) 20代、 85% 30代、 85% 40代、 84% 50代、 80% 60代、 76% 70代以上、61%▼(最低率)
→10代~40代までの読書率が高く、中高年になると本を読まなくなる 定年になり時間に余裕が増えると読書率は逆に減る
◎地域との相関関係('08年の場合)
大都市、 84%☆ 中都市、 80% 小都市、 76% 町村部、 74%▼
→大都市の読書率が高い(町村部より一割多い)
◎学歴との相関関係('01まで。'01の場合) 中卒、 67%▼ 高卒、 89% 大卒、 96%☆
→高学歴であるほど読書率が高い
◎職業との相関関係('08の場合)
事務・技術、88% 製造・販売、81% 専門職など、89%☆ 自営業、 75% 農林漁業、 56%▼ 主婦、 79% 学生、 87% 無職、 67%
→専門職を始めとするホワイトカラーや学生の読書率が高い
◎学生の読書率の推移
'55、70.4%▼ '60、73.3% '65、81.3% '70、80.4% '75、80.9% '00、94.0%☆ '08、87.0%
→昔より今の学生のほうが読書率が高い
また、前述した読書世論調査では、読書率の高低と関連する要因も調査しています。ここから若者の読書率が高くなってきた原因がわかってきます。
◎インターネットと読書との相関関係(07年の読書世論調査)
→ネット時間が長い人ほどよく本を読む ネットユーザーの読書意欲は高い ネットは本離れの要因ではないと推測される
→テレビを見る時間が長いほど本から遠ざかる
◎絵本と読書との相関関係(06年の読書世論調査)
→子供のころ絵本をよく読んでもらった人ほど現在書籍をよく読む
好きな絵本は、『ぐりとぐら』『桃太郎』『ちびくろさんぼ』『シンデレラ』『三匹の子ぶた』等
→小さなころに絵本をよく読んでもらった子どもはよく本を読む (00年の学校読書調査)
◎親と読書との相関関係(00年の学校読書調査)
父母ともよく読む小学生 平均7.1冊 父母とも本を読まない 平均5.1冊 ※中学生、高校生も同様。90年調査でも同様
→本をよく読む親を持つ子どもはよく本を読む
こうしたデータから、子供時代に本好きの親に絵本を読んでもらい、大きくなってインターネットをよく使うようになった学生ほどよく本を読むことが浮き彫りになってきます。
●若者の読書離れ説が止まぬワケ
昔より今の学生が本をよく読んでいるのにもかかわらず、大人はなぜ「読書離れが起きている」と叫んでいるのでしょうか?
それは自分たちが作った本が新刊書店で売れなくなってきたからです。
新刊洪水の中、点数増大のパラドクスで書籍1点あたりで考えると、昔より売れなくなってきている。89年に比べると、1点あたりの売上額は半分になりました。ただし、このコラムで繰り返し触れてきたように新刊書店だけが本に触れる場ではありません。
読書人口の増加にともない学校や公共図書館も充実し、90年代以降はブックオフやオンライン書店が登場し、新刊書店以外の選択肢が増えました。 そしてインターネットやケータイが完全に普及し、ケータイ小説や電子書籍といったものが登場した21世紀に入ると、本を買う場所だけではなく「読書」観そのものも変化していきます。「書籍」と「読書」の輪郭が溶解しているのです。
紙の本を読むこと=読書という固定観念にとらわれた世代からすると、ケータイやPCで読むのは読書じゃないという主張なのでしょう。 そして、調査結果から結論を見出すことなく若者の読書離れを主張するのは、教養にあふれ品格のあった昔の人はもっと本を読んでいたはず、古き良き社会ではもっと本が読まれていたというノスタルジックな幻想からくるものです。 情報化社会を迎えた現在、情報を取捨選択する能力、いわゆるメディアリテラシーが問われるようになりました。 自ら選ばずとも新聞や週刊誌、テレビのニュース番組といったマスメディアが提供してくれた情報が自らの「教養」を保証してくれた時代は終わりに近づいています。
若者の読書離れ言説は、受け身の情報を唯一の判断基準としてきた旧世代による、価値観や読書観の変化に対する脅えを訴えるメッセージなのかもしれません。
|
|
|
| |
|